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2006年09月01日 民法入門21 「代わりにお願いします」

代理 代理権の発生原因・範囲 ―民法入門21―
「代わりにお願いします」

今回は代理権の範囲についてお話したいと思います。

そもそも、代理はどのような場合に必要とされるのでしょうか。

例えば、未成年者はまだ十分な判断能力がないと思われるため、原則として単独で有効な法律行為をすることができないとされています。そのため、親権者等が未成年者の代理人として法律行為をしてあげる必要があるのです。
これは、法定代理が果たす機能です。

また、大阪に住んでる人が東京で仕事の契約をしたいと思っても、その日に大阪でも仕事の契約があれば困ってしまいます。このような場合に、東京にいる人に代理人になってもらって契約を成立させることが可能になります。これによって、本人自ら行動しなくて済み、取引の範囲が拡張されることになります。
これは、任意代理が果たす機能です。

では、代理権の範囲はどのように決定されるのでしょうか。

これは、法定代理では法定代理に関する法律の規定(ex.民法第28条、第824条以下)によって決定され、任意代理では本人と代理人との間の代理権授与行為(授権行為)によって決定されます。

ここで、代理権の範囲が不明な場合や特に範囲を決めていない場合、代理人はどのようなことができるでしょうか。

この場合、法律上、代理人は保存行為、物または権利の性質を変えない範囲での利用行為、改良行為のみをなしうると規定されています(民法第103条)。これらを一括して管理行為といいます。

保存行為とは、財産の現状を維持する行為をいいます。例えば、家屋の修繕、腐敗しやすい物の処分、未登記建物の登記、期限の到来した債務の弁済などです。

利用行為とは、財産の収益を図る行為をいいます。例えば、現金の預金、物の賃貸などです。ただし、物または権利の性質を変じない範囲に限られるので、預金を株式にすること、銀行預金を個人の貸金にすることはできません。

改良行為とは、財産の経済的価値を増加させる行為をいいます。例えば、家屋に電気やガスの設備を施す、無利息の貸金を利息付にするようなことです。

さらに、代理権の範囲内にあるにもかかわらず代理人のできない行為があります。

まず、自己契約といって、ある法律行為について、当事者の一方が相手方の代理人となることです。
例えば、AB間の建物の売買契約において、買主Bが売主Aの代理人として契約する場合です。

次に、双方代理といって、同一人が同一の法律行為について当事者双方の代理人となることです。
例えば、AC間の建物の売買契約において、BがAC双方の代理人になる場合です。

自己契約、双方代理が禁止されるのは、事実上代理人ひとりで契約をすることになって本人を害するおそれがあるためです。それゆえ、本人の利益を害するおそれがない場合には禁止する必要がないといえます。
民法第108条但書では、すでに確定している契約内容の実現にすぎない債務の履行については禁止されない旨が規定されています。
例えば、建物の売買契約の当事者双方が同じ司法書士に不動産登記申請を依頼する場合です。この条文があるからこそ、司法書士は当事者双方の代理人となれるのです。とってもありがたい条文ですね。

また、民法第108条但書の趣旨は本人の利益保護にあるから、予めなすべき行為が決まっていて新たな利益の変動がない場合や自己契約・双方代理に本人の許諾がある場合には有効になります。

いかがでしたでしょうか。少しは、理解の助けになりましたでしょうか?最後まで読んで頂いた方には感謝いたします。

(作成者 梶原 亮)