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権利の窓

2008年04月26日 民法入門41 「物権の効力」

物権 ―民法入門41―
「物権の効力」

みなさん、こんにちは。前回は物権とはなにかをイメージして頂くために、所有権を例に物権の性質・内容についてお話をさせて頂きました。
少しおさらいをすると、物権とは「物を直接的・排他的に支配する権利」でしたよね。
今回はすべての物権に共通の一般的効力、すなわち(1)物権的請求権と(2)優先的効力についてお話をしたいと思います。

(1)物権的請求権

物権的請求権とは、物権の支配状態が妨害され、または妨害されるおそれがある場合に、その物権を持っている人が、相手方に対してあるべき状態の回復、または妨害の予防を求める請求権のことをいいます。

物権は物に対する直接的支配をその本質としています。しかし、第三者がその支配を侵害した場合、物権を有する人はそれを回復するためにどうしたらよいかが問題となります。

この点につき、自己の実力によって侵害を取り除くことは禁止されています。なぜならば、たとえば、あなたが所有する土地を第三者に奪われたという場合に、あなたが勝手に暴力等で取り戻すことを認めるならば社会は混乱してしまいますよね。(これを「自力救済の禁止」といいます)
そこで、法は裁判等を通して紛争を穏やかに解決しようとしているのです。

しかし、他方で、土地を奪われた物権者が何もできないというのでは、物権の直接支配性を認めた意義が失われてしまいます。そこで、民法に規定はありませんが、解釈によって、この物権的請求権が認められているのです。

さて、それでは、物権的請求権の内容について詳しくみていくことにしましょう。ちなみに、物権的請求権は3種類に分けることができます。

1・物権的返還請求権
物権的返還請求権とは、物権者が物を奪われた時に、物の引渡しを請求する権利です。
たとえば、AさんがXさんから買い受けた絵画を、第三者Bさんが不法に持ち去った場合、あなたはこの返還請求権によってBさんに対し絵画の返還を請求することができます。

2・物権的妨害排除請求権
物権的妨害排除請求権とは、物の占有を妨害されている時にその排除を請求する権利です。
たとえば、Aさんの庭に隣の高台にあるBさんの塀が崩れ落ちてきた場合に、Aさんは物権的妨害排除請求権によって塀の除去を求めることができます。

3・物権的妨害予防請求権
物権的妨害予防請求権とは、将来、物権侵害の生じる可能性が高い場合に、妨害の予防を請求できる権利です。
たとえば、Bさんが山林の土砂を採取したことにより、将来、隣地にあるAさんの庭に土砂が崩れてくる危険性が高いという場合に、AさんはBさんにあらかじめ土砂の流出を防止する手段を講じるように請求することができます。

(2)優先的効力

今まで述べてきたように、物権は物を直接に支配し得る権利であり、排他性が認められていることから、物権には「優先的効力」というものが認められています。
この「優先的効力」には、1・互いに相容れない物権相互間では、時間的に先に成立したものが優先するという物権相互間の優先的効力と、2・債権との関係においては、債権の内容が物権の成立と相容れないものであるときには、常に物権が優先するという債権との関係における優先的効力があります。

なお、1においては、実際には公示(不動産では登記・動産では引渡)を先に備えた方が優先するという内容になっています。
また、2においては、不動産賃貸借については、債権の中でも例外的に、物権に近い効力が認められているため、登記等の対抗要件を備えれば物権者に権利主張することができるとされています。(また「賃貸借」のところで後ほど詳しくご説明します)

以上、物権の効力についてお話させて頂きました。
これからどんどん具体的な物権の内容に触れていきますが、今回の内容がその前提としてお役に立てれば幸いです。

(作成者 中川友紀)