親の認知症対策としての成年後見の手続き 相続や認知症対策についてYOUTUBE動画 一般社団法人 日本想続サポートセンター
お問い合わせはこちらから

新着情報

2014年03月24日 侮る事なかれ、株主名簿の管理

侮る事なかれ、株主名簿の管理

1.総説

前回は、株主名簿とその管理の『重要性』をお話させて頂きました。今回は会社として、株主名簿の名義書換え請求を頂いた場面で、留意しておいて頂きたいことについて、少し考えてみたいと思います。

2.怠りなく株主名簿の名義書換え手続きをされてますか?

会社としては、ある株主からその相手方への株式譲渡を承認しても、株主とその相手方からの、株主名簿の名義書換請求がなければ、現に株主名簿に記載のある者を株主として対応すればよく、株主名簿に記載のない株式譲渡の相手方は、株主であることを会社に対して主張することはできません。

そのため、株式譲渡の相手方としては、株主名簿の名義書換えまで必ず行うことが重要となりますし、会社としては当該請求がなされた場合、株主名簿の名義書換えを行う必要があり、故意または過失によって名義書換えを拒絶すると、当該請求をした者に対し損害賠償責任を負うケースもあり、なおかつ、その名義書換え未了の者からの株主としての権利行使を拒むことができないとも解されております。

従いまして、株主名簿の名義書換え請求があり、それが適式な株式譲渡に基づくものであれば、会社法上期限の定めはありませんが、株主名簿の名義書換え手続きを怠ることなく済ますことが重要となってまいります。

まして、これを怠ったまま長い期間が経過すると、株式の移動の経緯がわからなくなり、会社と株主とのトラブルの原因ともなりかねません。

3.株券の発行をしっかり行ってますか。

ここ最近は少なくなりましたが、株券を発行している会社におかれましては、株式譲渡に当たり、株主からその相手方に対して株券の交付が必要で、株券の交付の無い株式譲渡は無効となります。

よって、株式譲渡を行う場合、株券の交付を会社に対して請求することが必要となりますし、会社としても株主名簿の名義書換えを行う場合、過去に株券を発行したことがあるかどうかを確認し、不適法な株式譲渡に基づく株主名簿の名義書換え請求に応じないよう注意を払う必要があります。

4.印鑑届とは

株主の権利行使は、株主名簿の記載に基づいて行うことになりますので、現に株主名簿に記載のある者(以下、「名義人」といいます。)と、目の前にいる者が同一人物であること、すなわち本人確認をする必要があります。

そこで、株主名簿の名義書換えに際し、株主に印鑑届書による印鑑の提出を求め、株主の権利行使に際しては、当該印鑑を捺印した書類により行うこととすることが、管理上望ましいとされております。

5 おわりに

現在の株主構成を正確に反映しない株主名簿は、株主の持つ権利の大きさに鑑み危険です。

株主総会での議決権行使をはじめ、株主としての権利行使ができない場合、株主名簿の管理を怠ったということで、取締役が責任を負うということにもなりかねません。さらには、前回申し上げたとおり、株主総会の決議の効力が覆り、会社の信用が失墜するという最悪の事態にもなりかねません。

また、事業承継、第三社への株式譲渡(MA)をはじめとする大きな株主の移動に当たり、株主名簿上の株主が、適法に株式を取得した者であるのか、当該株主の株式取得の経緯を確認など重要な関心事となります。

株主名簿の作成は、複雑なものではなく、法定の記載事項をしっかり押さえればよく、お金がかかるものでもありませんので、これからでも遅くはありません。はじめていって頂けたらと思います。