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2006年08月02日 民法入門19 「いつなんですか?」

法律行為 意思表示 効力発生時期・意思受領能力 ―民法入門19―
「いつなんですか?」

みなさんこんにちは。
今回は、契約をする際に当事者が発信するなんらかの意思表示が法律的には、どの状態で効力発生しているのかについてお話させて頂きたいと思います。

それでは、売買契約を例にして考えてみましょう。

たとえば、コンビニエンスストアなどでの買い物を思い描いてみてください。コンビニエンスストアでカップラーメンを購入しようとレジまでもっていくことが「申し込みの意思表示」、それを受け取って「代金100円です」と伝えることが「承諾の意思表示」と解することが出来るので、その瞬間に売買契約が成立することになります。

契約の成立により、買主には代金支払い債務が、売主には目的物引渡し債務が発生するのですが、発生した債務を、レジにて100円支払うことにより、また同時にカップラーメンを引き渡すことによって履行していることになるため、契約の成立から互いの債務の履行までという法律的なプロセスを瞬間的に行なっていることになっているのです。

上記のようなケースにおいては、意思表示は表白(意思を外部に表すこと)により完了し、効力が発生することになります。

では、遠く離れた場所にいるもの同士の契約は、いったいどうなるのでしょう?

大阪に住んでいる山田さんは、東京に住んでいる田中さんが持っているカメラを以前から欲しがっていました。田中さんもそろそろカメラを買い換えたいと考えていたため、山田さんにカメラを売ることにしました。

そこで、田中さんは、山田さんに電話をかけてみたのですが、忙しい山田さんはなかなかつかまらず、仕方なく手紙で申し込みをすることにしました。

ここで民法第97条1項、「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」とあり、その効力発生時期について、到達主義を採用しています。ちなみに、最高裁の裁判例では、この「到達」について、相手方の勢力範囲に入ればよく、それを現実に知ることまでを要求しないとされています。よって、今回のケースにおいては、田中さんの手紙が山田さんの自宅ポストに投函された時点で申し込みの意思表示として効力発生することになるのです。

さて、前々から欲しかったカメラを買わないかとの手紙を受け取った山田さんは、大喜びで電話連絡をしたのですが、今度は、田中さんがなかなかつかまらず、手紙で購入したい旨の意思を表示することになりました。

では、この承諾の意思表示についても、同じように到達主義が採用されるのでしょうか?

またまた民法の規定、今度は第526条1項「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。」とあります。

契約の承諾については、民法の原則である到達主義の例外規定が置かれており、発信主義となっています。これは、迅速に処理することが望まれる取引行為において、承諾者がすぐに履行しうるようにするためです。

よって、山田さんが手紙を郵便ポストに投函した時点で、カメラの売買契約が成立し、山田さんは同時に代金を振り込むことによって、カメラを早く送ってくれと請求出来ることになるのです。

意思表示ひとつにしてもきちんと法律は規定しているのですね。

うっかりしていると実は、契約が成立していなかった、なんてことになっているかもしれないですよ。

(作成者 堤 大助)