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2007年11月12日 民法入門37 「時効の中断」

時効 総則 時効の中断・停止  ―民法入門37-
「時効の中断」

1. はじめに

みなさんこんにちは。今回は「時効の中断・停止」についてのお話です。

前回は、時効が完成することで利益を受ける人が、その利益を「受ける・受けない」ようにするための手段についてみていきました。今回はその逆、時効の完成によって不利益を被る人が、時効を完成させないようにするための手段、つまり利益を「受けさせない」ための手段についてみていきます。

時効制度の趣旨として、「長期間にわたってお金を借り続けていると、次第に本当にお金を借りていたのかどうかがわからなくなってくる。ならば、一定期間が過ぎたら(時効が完成したら)返済義務をなくしてしまおう・・・」という、なんとも強引な、「永続した事実状態の尊重」という観点がありましたね。

では、時効完成までに「貸したお金を返してくれ!」と主張する人が現れたとしたらどうでしょう。時効完成までその人を無視し続け、一定の期間が過ぎたら「返済しなくても良い」ことにするというのは、あまりにもやり過ぎです。「お金を返せ」と言った時点で、上記の時効制度の趣旨が当てはまらなくなるので、何らかの対応が必要となってくるわけです。

そこで民法では、「時効の中断」という制度を設け、時効完成によって不利益を被る人(上記の例ではお金を貸した人)が、時効完成を阻止するための手段について定めています。

2.時効の中断

時効の中断とは、当事者の一定の行為によって、それまで経過した時効完成までの期間を無意味なものとすることをいいます。一旦リセットして初めからやり直させるということです。
この「中断事由」としては主に、時効完成によって不利益を受ける人からの行為が挙げられています。

(例)AさんはBさんに対し、平成12年1月1日に100万円を貸し、返済期限を平成13年の同日までとしました。しかし返済期を5年過ぎても未だにBさんは返してくれません。そこでAさんは借金を返すように求める訴えを裁判所に提起しました。

例えば、ここでの「訴えの提起」は、時効中断事由にあたります。
ちなみに、「お金を返せ!」と単に口頭で言うことも、中断事由として挙げられていますが、その効果を確実なものにするためには、一定期間の間に先程の例のように訴えを起こす等、公の手続に移行しなければならないとされています。

一方、不利益を受ける人からの行為だけでなく、利益を受ける者の行為も中断事由として規定されています。それが「承認」というものです。先の例に沿っていうならば、Bさんが自発的にAさんに借金の一部として返済したり、「返済期を来年まで延ばしてもらえないか」などの相談などが、この「承認」にあたります。自ら「借りている」と認めているわけですから、権利関係が、そこで明確になりますよね。だから、それまで経過した時効期間をリセットしても問題はないだろう・・・ということです。

3.時効の停止

当事者が時効を中断させたくても、自然災害などが原因でそれができない場合もあるでしょう。やむを得ない状況であったにもかかわらず、単に「中断しなかった」という一事のみで時効を完成させてしまうのは、あまりにもかわいそうです。民法はきちんとその点を踏まえ、「時効の停止」という規定を設けています。

内容は、やむを得ない状況が去ってから一定期間内は、たとえ既に時効が完成していたとしても、当事者は時効中断の手続きをとることができるというものです。
条文上「停止」という言葉を用いていることから、あたかも時効期間の加算を途中でとめて、停止事由が去った後、同時点から再開するかのように捉えてしまいがちです。しかしあくまでも、一定期間内(自然災害の場合は2週間内)に特例的に時効中断措置が取れるに過ぎないということに注意が必要です。

(作成者 小南 幸右)