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2011年06月20日 民法入門55「お金を借りるには」

担保物権総論(意義・種類・性質) -民法入門55-
「お金を借りるには」
 

お金を借りる場合、友人間や親族間においては、金額が少ないことや、お互いに信頼関係があることから、無担保の貸し借りが多くあります。
 
しかし、銀行等でお金を借りるとなると、その額が大きくなり、なかなか無担保で借りることはできません。
 
貸主が確実に返済を受けられる保証がないからです。
 
貸主としては、借主から任意に返済が受けられない場合に、他に優先して貸し金全額を回収できるよう担保を要求し、これを条件に融資を行うことになります。
 
不動産や価値のある財産を担保として提供させるものを物的担保といい、債権者(金銭の貸主)が、担保として提供された債務者(金銭の借主)等に属する財産から優先的に弁済を受けるために、その財産を支配する権利を担保物権といいます。
 
以下では、担保物権の意義、種類、性質についてお話します。
              

1.意義

担保物権を「債権者(金銭の貸主)が、担保として提供された債務者(金銭の借主)等に属する財産から優先的に弁済を受けるために、その財産を支配する権利」と言いましたが、これはつまり、その債務者が複数の債権者から借金をしていても、債務者の財産が担保として提供されていれば、他の債務者を排除して優先的に、その担保となっている財産から(それを裁判所の関与のもとに売却して)貸金の返済を受けることができるのです。
 
これを優先弁済権といいます。
 
担保物権における「物に対する直接の支配権」の目的は、その物を使用収益することにあるのではなく、債権を担保することにあるのです。
 
この優先弁済権により、担保物権は債権者にとっては、債権の回収を安全・確実にし、また、資金を必要とする債務者にとっては、担保となるような財産があれば資金の調達が容易になるのです。
 

2.種類

民法では、留置権、先取特権、質権、抵当権の4種類の担保物権が規定されています。
 
このうち留置権と先取特権は、債権者と債務者との間での約束(担保の設定行為)とは無関係に、法律によって一定の場面で当然に成立します。
 
両者を法定担保物権といいます。
 
これに対し、質権と抵当権は、担保権者(債務者)と担保権設定者(債務者)との間での約束(担保権設定行為)によってはじめて成立します。両者を約定担保物権といいます。
 

3.性質

①留置権
 
たとえば、自動車の所有者から修理を依頼された者は、所有者が修理代金を支払わない間は修理した自動車の引渡しを拒むことができます。
 
このように、物に関して生じた債権(修理代金)を有する債権者(修理者)は、債務が弁済されるまでは誰に対しても、その物の引渡しを拒む(留置する)権利が認められています。
この権利を留置権と言います(民法第295条)。
 
②先取特権
 
たとえば、ある企業が労働者の賃金を払っておらず、また、銀行からの借入金の返済ができなくなったような場合に、銀行より先に、労働者が企業の一般財産を差押えて優先弁済を受けられる権利が民法において認められています(民法第306条・308条)。
 
このように、債権者間の実質的な公平をはかるため、法律に規定された一定の債権者が、債務者の有する財産全体、あるいは特定の不動産または動産から、他の債権者に優先して弁済を受ける権利が先取特権です(民法第303条)。
 
③質権
 
債権の担保として債務者から受け取った物(質物)を、債権者(質権者)が占有(物を事実上支配している(法律上の根拠はないが、もっている)状態)し、債務者の弁済がないときには、その物を裁判所の関与のもとに金銭に換えて、その中から優先的に弁済を受ける権利が質権です(民法第342条)。
 
質物が債務者から債権者(質権者)に移転するのが特徴です。
 
④抵当権
 
債務者からの弁済がないときに、債権者が債務の担保に供した債務者の不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利が抵当権です(民法第369条)。
 
質権とは異なり、引渡しを要しないために所有者は抵当権の設定された不動産を他人に貸したり、売ったりでき、その不動産に抵当権が設定されていることが、登記によって公示されるということが特徴です。
  
(作成者 細矢 祐輔)