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2006年10月06日 民法入門23 「代理権の消滅」

代理 代理権の消滅事由 ―民法入門23―
「代理権の消滅」

こんにちは。

今回も『代理』に関する事項です。
どのような時に代理権がなくなってしまうかをお話させて頂きます。
以前、お話をしていますが、代理には法定代理と任意代理とがあります。それぞれに共通の消滅の原因と特有の原因とがあります。

法定代理と任意代理に共通の消滅の原因は
・本人が死亡した時
・代理人が死亡した時
・代理人が破産した時
・代理人の後見開始の審判を受けた時

任意代理特有の消滅原因は
・委任の終了
・本人が破産した時

法定代理権特有の消滅原因は
法律関係毎にそれぞれ規定されています。
例としては
・成年後見人の後見開始の審判の取消
・親権についての喪失宣告、などです。

上記の事項が起こると、代理権はなくなってしまいます。
共通の原因の本人が死亡した時から、いくつかの事項をみていきましょう。

共通の消滅原因
・ 本人が死亡した時
・ 代理人が死亡した時
法定代理において、本人の死亡という事態が起こるのは、未成年者や成年被後見人の代理に対してです。本人の能力の補充の為に代理人がおかれるので、本人が死亡するとその必要がなくなります。ですので、代理権は消滅します。
任意代理においては、本人と代理人との間に信頼関係があって、本人の信任により代理人になります。その為、本人が死亡するか、代理人が死亡するか、すると代理権は消滅します。
・代理人が破産した時
・代理人の後見開始の審判を受けた時
最初は、自己の財産管理能力に欠陥のなかった者を代理人に選んだのに、その後、その代理人が破産や後見開始の審判を受けた時は、本人の意思にも反するでしょうから、代理権は消滅します。
ただし、最初から破産者や成年被後見人と分かっていて、代理人に選ぶことは出来ます。例えば、父親が未成年の自分の息子を土地の売却の代理人とする事も出来ます。とんでもなく安い価格で土地を売ってしまっても、その効果は本人である父親に帰属します。息子自身は不利益を受けません。ですので、代理人になることが出来るのです。

任意代理特有の消滅原因
・委任の終了
任意代理の内容は、契約等によって与えられた代理権によって決まります。その契約の内容が終了すると代理権を残しておく意味がないので、代理権は消滅します。

法定代理特有の消滅原因
・成年後見人の後見開始の審判の取消
当然の事ですが、本人に対して能力を補充する必要が無くなるので、代理権は消滅します。

以上、消滅の原因を挙げてきましたが、例外もあります。当事者間で特段の合意があった場合や、委任による商行為の代理権、委任による登記申請の代理権は消滅しません。
特段の合意と言うと難しく聞こえますが、例えば、信頼できる人に、預金通帳を渡して、亡くなった後の入院費の支払いやお葬式の手配などの依頼をしておく事などです。
また、訴訟上の代理人(弁護士等)は相手方に通知をしないと代理権が消滅しません。手続きの安定の為、誰が代理人かを明らかにしておく必要があるからです。

かなり硬い感じになりましたが、代理権の消滅についてお話をさせて頂きました。

(作成者 岡本 美恵)