権利の窓
2021年08月25日 社外取締役
令和元年会社法改正の影響でしょうか、それとも、今の日本にお
いてはイノベーションを起こすことが一つの重要なテーマになっ
ておりますので、ダイバーシティの観点からでしょうか、はたま
た有名企業の不祥事事件が続いたからでしょうか、女性アナウン
サーの相次ぐ上場企業の社外取締役ご就任なる記事がございまし
た。
竹内早苗氏 SBIホールディングス株式会社
草野満代氏 株式会社オンワードホールディングス
福島敦子氏 ヒューリック株式会社
そして、芸能人の酒井美紀氏が株式会社不二家の社外取締役に
ご就任されるそうです。
株式会社不二家さんのホームページに招集通知がアップされ
てますので、ご興味のある方、閲覧ください。
社外取締役の選任については、2015年5月に策定されたコー
ポレートガバンス・コードにより上場企業の間で社外取締役を選
任する動きが急速に広まり、現在ほとんどの上場会社が社外取締
役を選任されているに至っております。
そして、この度の令和元年会社法改正により、社外取締役の選
任がとうとう上場会社においては義務付けられることとなりま
した。
義務付けられてますものですから、社外取締役を選任しなかった
場合は過料の制裁が科されることになります。
社外取締役の人数としては、1名だけでなく、2名、さらには半数
が社外取締役で構成される会社があります。
また、上場会社だけでなく、未上場会社であっても、IPOを目指
される会社となりますと、社外役員を2名または3名ほどおかれて
いる会社を多くお見かけいたします。
ちなみに、社外取締役の属性としては、我々のような士業をはじ
め、学者、連続起業家、経営者等様々な方がご就任されてらっ
しゃいます。
時折、司法書士も社外取締役または社外監査役としてご就任され
てる会社をお見かけいたします。
今後の課題になっているところとしては、以前よりそうでした
が、社外取締役の候補者不足ということがあります。
そのため、一人の社外取締役がいくつもの上場会社の社外取締役
を兼務され、選任された会社の中に深く踏み込むことができず
社外取締役として期待された機能がいまいち働いていないとい
う指摘があります。
登記の現場においても、監査役会設置会社においては社外役員が
少なくとも3名は必要となっております。
ただこの3名を確保することが難しい場合は、監査等委員会設置
会社に移行して、2名は確保しておけばよいようにしておく会社
様もありました。
昨今は、M&Aを盛んに行う会社が増えてまいりました。
特に上場間もない上場会社様ですと今後の成長戦略としてM&A
は必須の経営戦略になろうかと思います。
そうしますと、自身が社外取締役に就任する会社が子会社に
なったことで、社外取締役の要件に該当しなくなり、候補者
探しに迫られるといったケースも弊所が取り扱った案件でご
ざいました。
今回の令和元年会社法改正で社外取締役の要件が変更になった
わけではありませんが、社外取締役を欠く場合に至った
上場会社の取締役会決議の効力については今後の議論が待
たれる個所となっておりますので、社外取締役を置いてい
らっしゃる会社におかれましては特に注意をして頂きたい
ところとなっております。